山本の狸 (やまもとのたぬき)*
昭和二十年代まで山本の辺りには竹藪が沢山あり、そこに多くの狸が棲んでいて、人を化かしては喜んでいたという。
狸たちは通行人に砂をまいたり、姉さんかぶりにたすき掛け姿の娘に化け、竹を背負って山本浜(保津川沿いの河原)の辺りを五、六人で固まってしゃなりしゃなりと歩くこともあったという。
他にも、法事帰りの尼が「いいお湯だ」と言って肥溜めに一晩中浸かっていた、老婆が通い慣れた道で迷い、夜明けまで川の土手を彷徨っていたという話もある。
昭和の初め頃は、山本のある所の大きな門に狸が背高坊主になって現れると言われていた。
ある日の夕方、少女が姉と子守をしながらそこを通りかかると、門の梁に頭がつかえそうな大坊主が下駄を履いて立っていたので、姉妹は泣きながら逃げ出したという。
『山本の風土記』「たぬきのはなし」より
他にも、太郎兵衛という人が娘に化けた狸を見物していたつもりが、気づけば石灯籠に頭を突っ込んでいた、というポピュラーな化かされ話も伝えられています。
このように山本地域は狸に化かされることが多かったので、親指を隠し握りこぶしを作って歩く、マッチや提灯を携帯するなど、化かされないための対処法があったそうです。
伝承地:亀岡市篠町山本