丹波・丹後の妖怪あつめ

京都府北部(丹波・丹後地域)の怪異妖怪伝承を紹介するブログです。

怨霊

槌鬼

槌鬼 (つちおに)


昔、加悦の地に大国主命と沼河比売の夫婦の神が住んでいた。
だがある時、“槌鬼”という悪霊が、沼河比売に邪気を吹きかけると同時に体内に入り込み、病気にしてしまった。
槌鬼のせいで病気になったとは知らず、大国主命は手を尽くして看病したが、沼河比売の病状は悪くなる一方だった。
そこへ少彦名命が来て、沼河比売に七色の息(八色とも)を吹きかけた。
吐息を受けた槌鬼は沼河比売の体内から追い出され、絶命して消え去った。

こうして沼河比売は快復したが、同時に少彦名命の吐息を受けた草木や作物は抵抗力を失い、虫に食い荒らされ出した。
そこで、少彦名命は病気の元となる体内の虫を、大国主命は体外の虫を取り除くことを決め、草木や作物の内外の虫を全て退治した。
その後、大国主命は鏡を二つ作り、一つを少彦名命に与えて「小虫」と呼び、もう一つは自分が持って「大虫」と名乗り、人や作物を守ることを固く誓ったという。

『加悦町史 資料編』第一巻「大虫さんと小虫さん(温江)」
『加悦町誌』「少彦名命と宝鏡」より


ちなみに『舞鶴の民話 第四集』では「槌鬼は大国主夫婦のラブラブっぷりに嫉妬して沼河比売を病気にした」とあります。性格悪い。


大虫神社
温江の大虫神社。祭神は大巳貴命(大国主命)。
元々は大江山の中腹の池ヶ成という所に祀られていましたが、室町時代に今の場所に移祀されました。
麻呂子親王が三上ヶ嶽(大江山)の三鬼を退治する時、神像を作って納め、戦勝祈願した神社と伝えられています。(神像は後に焼失)
また、親王の鬼退治をサポートした白犬がつけていた鏡を祀っていることから、「犬鏡大明神」とも呼ばれています。


小虫神社
小森谷の小虫神社。
祭神は少彦名命で、こちらも大江山の池ヶ成に祀られていました。
ちなみに境内には「猫宮」という由緒不明の摂社があります。
鼠から蚕を守ってくれる猫を神として祀っているのでしょうか。(与謝野町は丹後ちりめんで有名な町ですし)


伝承地:与謝野町温江

長者の怨霊

長者の怨霊 (ちょうじゃのおんりょう)


五十河の内山集落に「長者屋敷」と呼ばれる屋敷跡がある。
この屋敷を建てた長者は、応仁の戦禍を避け、都から逃げて来た人物と伝えられている。
長者は内山を終の住み処と定め、都から持参した財宝を使い、贅を尽くした屋敷を建てた。
そして長者の家は栄え、平穏の内に数代は暮れていった。
だが何代目か後の当主は、ある時、風に誘われるように屋敷を出て、そのまま行方を眩ませた。
残された家族は相談の末、金銀財宝を納めた壺をどこかへ隠し、内山から去って行った。
その後、ある人が股引一杯の銀の小粒を見つけ、それを田畑に換えたところ、長者の怨霊に祟られて死んだという。

『丹後の伝説 ふるさとのはなし』「長者屋敷」より


末代の当主に一体何が……。
ちなみに、長者家族が隠した壺を探しに出た人もいましたが、出て来たのは腐った銭貨と小さな砥石くらいで、結局誰も財宝を見つけられなかったそうです。


伝承地:京丹後市大宮町五十河(内山集落は昭和四十八年に廃村)


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