丹波・丹後の妖怪あつめ

京都府北部(丹波・丹後地域)の怪異妖怪伝承を紹介するブログです。

班牛

班牛 (まだらうし)


芦生村から五里(約20km)奥へ入った川筋に、「一二三の坪」という大中小三つの滝壺がある。
滝壺は二千石船が廻れる程の大きさで、底は深く、左右を険しい岩山に囲まれている。
ここに“班牛”という牛が棲んでおり、近年も姿を見た者があったという。
班牛は一二三の坪の主で、三つの滝壺を順に棲み替えている。
不思議なことに、班牛の棲む滝壺は次第に埋まって見えなくなるという。

『丹波志桑田記 瀧川之部』「瀧坪」より


参考資料に「班(マダラ)牛」と書かれていたのでその表記のまま紹介しました。
」の誤記?

ちなみに芦生の南の右京区京北にも、水中に棲む牛の話があります。


伝承地:南丹市美山町芦生


オカマサン

オカマサン


大原神社の前にある水門(みなと)の淵は“オカマサン(お釜さん)”と呼ばれている。
遙か昔、天児屋命が宮地を求め、大原山麓の水門の淵を訪れた。
すると水底から金色の鮭が現れ、「私はこの水底に棲み、数千年間この山を守っている者だ。山頂には白幣と青幣があり、いつも光を放っているので、まさにここは神が鎮座すべき霊地である」と告げたため、天児屋命は大原を宮地に定めたと伝えられている。
この淵には、もし村に悪いことがあれば鱒が現れ、不浄のことがあれば鮭が浮かび出るという。
そのため、大原の人々は大正の末頃まで鱒と鮭を食べなかったという。

『丹波志』巻之一「神社部 天田郡」
『丹波地区民俗資料調査報告書』「オカマサン」
『神社案内板』より


オカマサン
水門の淵。通称オカマサン。
大原神社のすぐ目の前にあり、この淵は流れてくる不浄を濯いでくれると言われています。

牛の足跡
左側の白い岩には小さな窪みがぽこぽことついています。
これらの窪みは神が乗っていた赤い牛(黄色い牛とも)の蹄の跡だとされています。
そのため、大原の人々は赤牛を飼わず、牛肉も食べなかったんだとか。食べられないものが多い。

飛瀧峯社
オカマサンの水底から現れた金色の鮭は、大原神社本殿横にある摂社に「鮭魚化神(さけのけしん)」として祀られています。
摂社は七柱の神が合祀されていて、一番左の社が金色鮭を祀る「飛瀧峯社(ひろうほうしゃ)」です。名前がカッコイイですね。


金色の鮭に乗って現れた神様。


伝承地:福知山市三和町大原


牛神さん

牛神さん (うしがみさん)


牛神さんとは「内神さん」のことで、北村の氏神とも、大宮賣神社奥の院の神とも言われている。
明治初年に大宮賣神社の社殿の修理・改装を行った時、北村中の牛が変死するという事件が起きた。
これは内神さんの祟りだと恐れられ、それ以来、口さがない人々から「内神さんではなく、牛神さんじゃ」と言われるようになった。

『周枳郷土誌』「牛神さん」より


伝承地:京丹後市大宮町周枳


牛取り岩

牛取り岩 (うしとりいわ)


昔、ある百姓が牛を連れて崇山(あらたやま)へ行き、牛を近くの岩に繋いで仕事をしていた。
だが仕事を終えて岩に戻ると、牛の姿が消えていた。
見ると、牛を繋いでいた岩に手綱の跡と牛の蹄の跡がついていた。
百姓は「岩が牛を取って喰ったんだ」と考え、その岩を“牛取り岩”と呼ぶようになった。

『おおみやの民話』「牛取り岩」
『現地案内板』より


牛取り岩
牛取り岩。
岩は崇山の山頂付近の道端にひっそりと佇んでいます。


苔だらけの表面
手綱や蹄の跡を探してみましたが、苔だらけで見つけられませんでした。


伝承地:京丹後市大宮町谷内・崇山森林公園


消えた牛と婢

消えた牛と婢 (きえたうしとはしため)


昔、三郡嶽の中腹に長者の屋敷があり、そこで一人の婢(はしため)が働いていた。
婢は屋敷で飼っている牛を大変可愛がっており、毎日密かに白飯を与えていた。
ところがそのことを長者に知られてしまい、婢は屋敷から追放された。
婢は行く当てもなく、泣きながら夜道を歩いていると、可愛がっていた牛が追いかけて来て彼女を背中に乗せた。
そして夜が明けた頃、野良仕事に出て来た村人たちは、婢を背に乗せて歩く牛を見かけた。
すると不思議なことに、牛と婢の姿が一瞬で消え失せてしまった。
後に事情を知った村人たちは婢を哀れみ、彼女たちが消えた所に藤森神社を建てたという。

『和知町 石の声風の音』「大成藤森神社の縁記」
『ふるさと口丹波風土記』「立木の牛」より


藤森神社
広野地区の藤森神社。
元々藤森神社は山の中の大成集落にありましたが、昭和四十年代に同集落が廃村になったことで、広野の藤森神社に合祀されました。
ちなみに藤森神社は、大江山の鬼退治に向かう源頼光一行を鼓舞した「和知太鼓」の発祥の地とされています。(『和知町誌 第一巻』)


伝承地:京丹波町広野・藤森神社


牛が消える窪地

牛が消える窪地 (うしがきえるくぼち)


美山町豊郷の八坂神社裏の林に窪地があるが、そこは常に鬱蒼とした木々に囲まれている。
ある時、その窪地に牛を牽き入れたところ、たちまち影をなくして行方不明になった。
牛が消えた原因はわからないが、今も人々はそこに近づかないという。

『京都府北桑田郡誌』「八阪神社」より


伝承地:南丹市美山町豊郷・八坂神社


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