魚に憑かれた男 (さかなにつかれたおとこ)
ある年の春、繁という男が夜中に曼陀羅口という所を通ると、川の中から賑やかな声が聞こえてきた。
見ると、知人の男二人が川に浸かり「鯉がいる」「いや大鯰だ」と言いながら、ずぶ濡れの姿でバチャバチャと魚を追いかけ回していた。
だが川には切り株が浮いているだけで魚影は見えなかった。
繁が「鼬に化かされたんだよ」と言うと、二人は渋々川から上がって来て大笑いしたという。
また昭和の頃、おトラという老婆がよその家で風呂に入り、帰ろうとして外に出た途端「帰り道がわからんわいやー」「鼬に化かされたわいやー」と大声で喚きながら、家の裏をグルグル回っていたことがあったという。
『丹後の民話 第四集 ふるさとのむかしばなし』「魚に憑かれた男」より
まだ耕地整理が進んでいない頃、竹藤地区の川のあちこちに深い淵があり、大鯰やタライ一回り半もある真っ白な鰻などが棲んでいたそうです。
伝承地:京丹後市久美浜町竹藤